朝早く仕事

四月になって、新入社員が入社したあとに、旦那のいる開発部でお花見をすることになりました。
毎年上野でやっている恒例のお花見でしたが、いつも新入社員がお酒を飲まされて酔いつぶれるので迷惑な行事でした。
旦那が入社したときの花見も、ずいぶんと酒を飲んだらしくて、翌日はの約束をすっぽかされた覚えがありました。
今年はあまり飲み過ぎないでねと釘を刺しておきましたがあまり効き目なさそうでした。
旦那は誘われると断れないらしくて、3次会までつき合うのが恒例でした。
いつもの事なので気にはしていませんでしたが「いつ帰るの」と何度電子メールを入れても、返事は「もう少し」という返事しか帰って来ませんでした。
終電が終わる頃になってようやくこれから帰るというメールが来ました。
私はパジャマに着替えて、先に布団に入って旦那の帰りを待ちました。
半分寝入った頃に、ドアのチャイムが鳴りました。
勝手に入ればいいのにと思っていましたが、チャイムが何度も鳴るので玄関まで行って外の様子を伺いました。
ドアがあくと旦那が同僚の村上さんの体を肩で支えながらやっとのことで立っていました。
「悪いけどタクシー代払ってくれないか」と旦那が言うので、私は財布をもって下で待っているタクシーの所まで行きました。
私も手伝って服を脱がせると、布団を寝室から持ってきて、村上さんを寝かせました。
「ねえ、奥さんに電話しといたほうがいいんじゃないの」と私は旦那に聞いてみました。
すると「そうだね、言わない方がいいんだが、かといって黙ってるわけにもいかないし、まあ家に来てることだけは言った方がいいだろうけど」とはっきりしない返事でした。
私は村上さんの奥さんの秀美さんに電話すると「ご主人家にきてますから、今日は家に泊まります」と言いました。

すると「やっぱり酔ってるんですか」と聞かれたので「ええまあ、」とだけ答えました。
翌朝旦那が朝早く仕事だと言って出かけていきました。
「あいつは、ほっといて寝かせとけばいいから」と旦那が言うので、私は村上さんの寝ている部屋にも掃除には入りませんでした。
旦那が出て行ってからしばらくしてドアのチャイムがなるので、旦那が忘れ物をしたのかしらと思って出てみると村上さんの奥さんの秀美さんでした。
「うちの来てますか」と言うので私は部屋に案内しました。
村上さんはまだ部屋で寝ている様子でしたが、秀美さんが布団を剥がすとに目がいきました。
下着の上からも巨大な物がはっきりと分かって私は目のやり場に困りました。
秀美さんはいきなり村上さんの熱い鉄柱をつかむと、「あんたまたしたんでしょう、これが証拠よ」と怒鳴り始めました。
村上さんは目を開けるといったい何が起きたのか訳が分からない様子でしたが「うるせんだ、このドスケベ女」と言い出しました。
どうも自分の家で寝ていると思いこんで居るようで、自分がまずい状況に置かれているのを理解していない様子でした。
「今度、したら離婚だって私が言ったのもう忘れたの、いったいどうゆうつもりなのよ」と村上さんは少しずつ、昨日の事を思い出してきたようでした。
「俺はなにもしてない、なにもしてない」と今度は言い訳を始めましたが、逆に秀美さんの怒りに火を付けただけでした。
秀美さんは怒って立ち上がると「実家に帰らせていただきます、離婚届は郵便で送りますから」と言って出て行ってしまいました。
私は台所に行って村上さんに冷たい水をコップに入れてもってきました。